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お湯と珈琲

お湯は便利です。お砂糖もお塩も、お湯に溶かす方がずっと簡単なのをあなたもご存じでしょう。では珈琲の場合、どうなのでしょう。

溶けやすさの順序:①苦み,②旨み,③深み(コク),④酸味,⑤香り,⑥渋み(エグ味)、という順です。例えば、旨みの大半は水溶性アミノ酸で比較的溶けやすく、一方で香りの中には芳香族化合物のほかに水と親和性が低い精油アロマ成分もあります。

2022/3/15:「珈琲」を活かす・高山村の水との出会い/信州高山村観光協会研修資料より

珈琲成分の、溶けやすさ・溶けにくさについて、少し知っておくと、水(お湯)の使い方が、わかってきます。

あまりに熱い熱湯に触れさせてしまうと、本来は水にはあまり溶けにくい渋み(エグ味)成分も、溶け出してきてしまう危険が高まります。

比較的熱いお湯でいれる方が、珈琲のつくりかたとしては一般的ですが、珈琲を習うセミナーのようなところに行ったり、書籍などで情報収集すると、94℃以下で、とか、92℃程度で、と紹介されていることが多いのを、きっとあなたも発見すると思います。

あまりにも沸騰状態に近い、踊るような熱いお湯は、イヤな味まで溶かし出しやすいので、沸かしたお湯を、すこし落ち着かせていれよう、というのが理由です。

世界各地の珈琲豆のもつ、その原産地の特性や個性をでき上がりの珈琲に含み込ませて、お楽しみいただこうとするには、やはり、暖かいお湯でのドリップ珈琲が適しています。

それは、冷たい水に対してでは比較的溶けにくい、香りや酸味の中にも、珈琲を引き立てる風味があるからです。

何時間もかける「水出し珈琲(ダッチ珈琲)」の設備で、珈琲の粉に点滴された微量の水が、細いらせん状のガラス管をゆっくりかすかに流れ移動していく情景を、あなたもご覧になったことがあるかも知れません。雑味が少ない澄んだ味わいが長所です。機会があればまた詳しく紹介しますが、時間をかけて抽出することによって、後半の時間帯には、珈琲の粉の中を、純度の高い水が通過する傾向が強まり、水に溶けにくい成分も拾い集めることができる、という、「水」に物質が溶ける化学的な条件をつかっているわけです。

何万円もする長い長いらせんガラス管の水出し珈琲が、豊かな風味を出せるのは、この、時間を追って珈琲粉の内部成分比が変わることをうまく利用しているからです。

さて、私たちが学ぼうとしているのは、「ドリップ珈琲」、中でも「ペーパードリップ」という珈琲のいれ方です。たいへん普及している方式で、珈琲の良さを引き出す良い方式の一つですが、一方で、おいしくいれるのが難しいと感じておられる方の声もよく聞きます。

別の記事で、誰でもおいしくドリップできる方法や、あまり知られていないドリップ珈琲の秘密を、明かしていきましょう。お楽しみに。

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